サッカー少年、「の」の字のターンをする

2022年7月15日金曜日

足元の技術

t f B! P L
海くんは、試合になると「親子練習での調子」が出せません。

「親子練習での調子」とは、わたしとの1vs1で見せる海くんのプレーのことなのですが、

1vs1では、ある程度機敏に見せる動きも、試合になるとまるで別人のような動きになります。

緊張からなのか、空回りすることが多く、試合を見るたびに親としてはもどかしい気持ちになっています。

ところが、先日の試合では、かなり「親子練習での調子」を出すことに成功していました。

理由の一つに、ある海くんのプレーが上手く行ったことが挙げられます。

そのプレーは、単なるアウトサイドのターンです。

ただし、360度くらいクルリと回ります。

ひらがなの「の」の字を書くようにターンするイメージです。

相手のプレッシャーを受ける直前に、一度背中を見せて円を描いてまた前を向き直します。

それをすると何が良いかは後で書くとして、

海くんがそれを試合中に実行したきっかけは、当日の朝にご飯を食べながらわたしと交わした会話にあります。

わたし「今日、試合頑張ってね。」

海「うん!頑張るよ!」

わたし「父ちゃんとの1vs1みたいに自分の力を出せれば、うまく行くよ。」

海「うーん。そうなんだよね。まぁ、やってみるよ。」←(自信なさげ)

わたし「最近の傾向からいって、ポジションは左のバックやることになるだろうね。」

海「最近、左のバックが多いからね。多分そうなるね。」

海「キーパーからパスをもらってもうまく前に運べないんだよね。すごい焦っちゃう。」

わたし「そうね。相手も必ず前からプレスしにいくからね。取られたらどうしようってなるよな。」

海「そうそう!」

わたし「もともと右利きの左バックは難しいんだよ。」

海「そうなんだ?」

わたし「ライン際ドリブルするのも、相手にボールを晒すことになるでしょ。」

海「確かに。かといって中央に持ってくと自分たちのゴール前で奪われたとき危ないし。中にも縦にもいけないじゃん!」

わたし「そんじゃさ、中に行くと見せかけて外にターンしてみ?」

海「どうするの?」

わたし「アウトサイドで一周回るんだよ。360度ぐるっと。いきなり相手に背中見せて後ろ向きにドリブルすることになるから相手は混乱するかもよ?」

海「ふーん。」

わたし「後ろにドリブルすることで相手との距離とれるし、落ち着いてパスでもなんでもすればいいよ。」

海「ぴったり付いてこられちゃったらどうするの?」

わたし「どうするって、その場合はこっちの思うつぼよ。中に釣れるから素早く反転すればサイド際抜けるよ。」

そして、試合本番。

想定通りの左バック。

試合早々の早速のゴールキックから海くんは最後列でパスを受けます。

一直線で真正面向かってくる相手に対して、わたしのアドバイス通りに海くんはアウトサイドでターンします。

とーん、とーん、とーんとワンステップワンキックで器用に回ります。

相手は積極的にボールを奪いにきたので、中に釣られました。

結果サイドライン際のスペースが空いて、海くんは一枚剥がした形で正面を向くことができました。

その後、抜いた相手が追ってきて慌てたのか、少しタッチが大きくなって二人目に阻まれてボールはタッチラインを割りました。

ただ、最初のトライにしてはうまく行ったように見えました。

360度のうち、180度くらい(完全に後ろ向きになる)まで相手は中からプレスしてくるので

270度くらいまできた時点で、ようやく相手も海くんの狙いに気づきましたが、

海くんは、もう余裕を持って前を向いてました。

海くんはサイド際をドリブルして抜き去りますが、結局二人目に詰められて、タッチラインを割りました。

そのプレーからそんなに時間が経つことなく、二回目のゴールキックからのパスが海くんに渡ります。

同じようにプレスをかけられます。

海くんは同じようにアウトサイドでターン仕掛けますが、今度はタイミングが若干早すぎて釣ることができませんでした。

釣れなかった分、前を向いた海くんとプレスをかけたこの間に2m程度の間が生まれます。

次の瞬間、逆サイドにロングキックするような目配せをします。(注:海くんは蹴っても届きません。)

相手が慌てて詰めてきたところ、もう一度、海くんは「の」の字を描いて、今度こそ置き去りにします。

二人目が詰めてきましたが、一瞬早く海くんの縦パスをサイドハーフの子に渡すことができました。

プレッシャーの中で、自分のプレーができたことがきっかけで、その後のプレーでは「の」の字を描くことなく前列にパスを出せていました。

少し自信がついて自分のプレーを出しやすくなったかも知れません。
海くんの前列へのパスの供給はミスが少なくて安定して量産してました。

前列にボールが渡ったあとがチームとして活かしきれなかったことが残念ですが、

海くんはボールを前にはたくだけでなく、自身も走って積極的にオーバーラップして、もう一度パスを受けたりなど頑張ってました。

チームとしての課題は山積した試合ではありましたが、海くん個人は成長できた貴重な試合だったなという印象です。

今まで、1vs1の親子練習のように実力を発揮してくれないことが悩みではありましたが、この成功体験をきっかけに飛躍してくれることを願います。

さて、「の」の字を描く良さについてですが、「クローズドスキルに限りなく近いものだから。」だと思っています。

前向きにターンして相手を振り切ろうとすると、相手との距離が近すぎると足に引っかかってしまったり、遠すぎると追いつかれてしまったりするので相手との距離感が重要になります。

「の」の字のターンは、常に自分の身体でボールを隠しながらターンするので足に引っかかる可能性は低く、しかも逃げながらターンするので自分ひとりでターンの練習するときとさほど条件は変わりません。

相手が釣れたら抜けるし、釣れなかったら距離を取ってプレッシャーを外せるので

相手の行動に関わらず、実行するメリットがあります。

そのかわり、ターンでもたつくと追いつかれるので、スムーズにする必要がありますが、クローズドスキル「だけは」チームからちょっとだけ評価されてる海くんにはそこまでハードルになりません。

「の」の字のターンは、クローズドスキルは高いけど対人で発揮できない子に向いたターンなのかなと感じました。

海くん的にも手応えがあったそうで、しばらく続けてみると言ってました。

わたしとしても、今後の海くんが楽しみになってきました。
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文化系歴40年。小学四年生の時に習い事が全て嫌いになりバッサリやめた経験から10歳くらいまでの過程が、少年サッカーを全うする上で重要だと思っている。

得点機会が増えてきた。

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