その子は身体が大きくて俊敏な子で、入ってすぐにレギュラーに定着しましたが、入団するまではサッカー経験はなかったそうです。
そんな子がなぜすぐにレギュラーになれたのかといえば、その子にフィジカル面での大きなアドバンテージがあったことと、センスや積極性があったことなどが理由だと思います。
もちろん、その子が他にやってきたスポーツの経験が活きたりですとか、入団してから、たくさん努力したとか、そんな理由ももちろんあるのでしょうが、
フィジカル面のアドバンテージは無視できない状況でした。
1年生の頃からサッカーを続けていた子をアッサリとこえてしまう様子を見ると、結局のところ「才能には勝てない」のかなぁなんて当時は感じました。
そして、その子が入ってから1年後の今、あることに気が付きました。
チームの中には、その子よりも替えがきかない選手が数人います。
その数人の選手に共通するのは、技術があることです。
わたしが気がついた「あること」とは、技術のあるその子たちは後から入団したその子に決して抜かれていないということです。
フィジカルに頼ったプレーに傾倒して、技術向上を後回しにしてきた子は、フィジカルに恵まれた体躯を持った子にあっさりと抜かされてしまいました。
逆に、技術向上のための努力を積み重ねてきた子は、フィジカルだけでは埋まらないサッカーに必要な要素を持っています。
それだけ、フィジカルは生まれ持った才能に左右されやすく、技術は、少しずつ積み上げて時間をかけて向上させていくものなのでは。と思っています。
となれば、サッカーを小学生年代の6年間続けるにあたり、注力すべきは技術の体得であることが分かります。
そこを分かっていないと、6年間サッカーを続けてきたけど、フィジカルに恵まれてるサッカー経験ない子とほぼ大差ないなんてことになりかねません。
足の速さや俊敏性については、ゴールデンエイジとも言われる幼少期にトレーニングする必要があるでしょうが
ゴリゴリ押しのけて相手とぶつかりながら鍔迫り合いを制して直進するドリブルだとか、
狙いのない力任せの大きな縦パスだとか、
プッシングしてボール奪取してサッカーが上手くなった気でいると、後悔してしまうのかなと思います。
積極性を身に着けた子は、一足飛びで上手くなったような感じがして、海くんからすれば焦る気持ちにもなるかもしれませんが、
飛び道具に飛びつかずにこのまま地に足をつけて一歩ずつ積み上げていってもらいたいです。