ごく普通の3vs3なのですが、チーム分けがユニークでした。
一つのチームは、スクールの中で最強のトリオでした。一人突出した子がいて、その子に「この中でチームメイトになる子を自由に二人選んで。」とコーチから言われて指名した最強チームです。
最強チームは全員小学六年生でした。
その最強チームと対戦するチームとして、まず一人コーチから指名されたのは小学三年生の子でした。
この子は確かに上手い子ですが、最強チームのメンバーから見ると技術・フィジカル面で明らかに見劣りします。
その子にもコーチは「二人チームメイトを選んで。」と言いました。
その子は、六年生である海くんと、五年生の子を選びました。
他にも上手くて屈強な六年生が何人も残っている中でこの人選だったので、その場の雰囲気が「えっ?!」という感じになりました。
そもそもコーチが最強チームの対戦相手として三年生のその子を指名したのかも謎でしたし、その子自身の人選も謎でした。
コーチがどこまで、その人選を予測していたのかわかりませんが、こりゃ相当ボコボコにされるかなー。と思いました。
ただ、いざ3vs3を見てみると、
「うん?・・・思ったよりやれている・・・、というより、・・・上回ってる?!」
最強チームは、確かに強いので、一人でドリブルできるし、コントロールが良いので、ロングパスもバシバシ通します。ダイレクトパスも正確に通すので、スピード感があって迫力があります。
海くんのチームも、基本的な技術はそこまで引けを取りません。ドリブルで抜き切る力は劣るものの、運んだりパスしたりする過程であまりミスしませんし、プレイが堅実です。
そして、なぜか、最強チームよりスルーパスが通ります。
スルーパスを出す技術というよりも、受け手が良いとこにいるからパスを引き出せるという印象を持ちました。
そして、そのスルーパスを受ける受け手となる子が決まった一人でなく、三人誰でもなり得る動きをしていました。
ボールを運ぶ役割、セーフティプレイヤーの役割、三人目の動きをする役割を三人が役を決めずにグルグル自由に動いています。
上下の動きだけでなく横にも動くので、スペースが生まれます。
最強チームはパスもドリブルも一級品ですが、一つ一つのプレイに繋がりがないように見えるのに対し、海くんたちは、普通のドリブル、普通のパスを守備を崩すために意図を持ってプレイしているように見えました。
最強チームが、足し算のプレイなら、海くんたちは、掛け算のプレイだなと思いました。
どうして、そんなプレイが可能になったのかは、正直よくわかりませんが、たまたまボールの運び方に対する考え方が近い子が集まった可能性はあるのかなと感じました。
もちろん、一定以上のサッカーIQはあるのでしょうが、それ以上にサッカー面において、よく気が合っているように見えました。
何度か3vs3をした結果、ほぼ互角だったと思います。
ラストプレイでは、自ゴール前で海くんたちがパス交換をして、出来たサイドのスペースに海くんが走り込んでパスを受け、一人寄せてきましたが、海くんが一歩早く前へ抜けて、無人のゴールにシュートしていました。
帰りに「どうだった?」とプレイの感想を聞くと、「充実してた!」と確かな手応えを感じていたようでした。
「よかったな。このプレイを少年団でもやりたいな。」というと、「うん!」と力強く返ってきました。
頭を使ってサッカーすることの大事さを身に沁みて分かってくれたようなので、良い経験を積んだなと思います。
この経験を少年団にどう反映していくのか、海くんのこれからに期待したいところです。